研究課題/領域番号 |
09555004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梅野 正隆 大阪大学, 工学部, 教授 (50029071)
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研究分担者 |
小山 浩 三菱電機(株), ULSI研究所, センター長研究者
志村 考功 大阪大学, 工学部, 助手 (90252600)
田川 雅人 大阪大学, 工学部, 助手 (10216806)
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)
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キーワード | 原子状酸素 / 低温酸化 / 宇宙環境 / シリコン / 酸化膜 / ビーム酸化 / 低地球軌道 |
研究概要 |
本研究は炭酸ガスレーザーを用いたレーザーブレークダウン型原子状酸素ビーム発生装置の実用化により初めて発生可能となった、5eVの並進エネルギーを有する高強度原子状酸素ビームをSiウエハ-の酸化プロセスに適用する事によりSi基板の常温酸化法を開発することを目的とするものである。研究初年度にあたる平成9年度には、(1)装置の改良と立ち上げ、(2)ビーム評価システムの構築、ならびに(3)常温での酸化に関する予備実験を行った。その結果、以下に示すような結果が得られた。 (1)炭酸ガスレーザー(7J/パルス)とソレノイドバルブを同期させることにより高強度の原子状酸素ビームが発生することを確認した。 (2)四重極質量分析管を検出器とする飛行時間測定装置を作成した。本システムは3段の差動排気系を有しており、これによりビーム中に含まれる成分ごとにその並進エネルギーと相対強度を見積もることが可能となった。 (3)本システムを用いて室温に保持したSi(001)基板に原子状酸素を照射し、酸化膜厚をエリプソメーターを用いて測定した。その結果、曝露前の自然酸化膜の有無に関係なく原子状酸素に曝露した後には4.2nmの厚さの酸化膜が成長していることが明らかになった。このことは4.2nmという酸化膜厚が原子状酸素の室温における拡散限界である事を示唆している。また、X線光電子分光とフーリエ変換赤外吸収スペクトルからSi/SiO2界面には比較的大きな遷移層と真性応力が存在していることが示された。これらの点に関しては基板の加熱(アニール)やフッ素の添加などが効果的であると考えられ、次年度以降の課題として残った。
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