研究課題/領域番号 |
09555020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早川 禮之助 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011106)
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研究分担者 |
古澤 浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20282684)
木村 康之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00225070)
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キーワード | 非線形応答 / 誘電緩和スペクトル / 電気光学スペクトル / 強誘電性液晶 |
研究概要 |
本年度は昨年度に開発された広帯域・高精度の周波数域非線形緩和スペクトロメータの仕様(測定可能な周波数帯域における測定精度等)の具体的評価を行った。その結果、まず波形発生器からの入力信号に含まれる高調波歪みをローパスフィルターで効率的に除去することにより、測定感度を10倍以上向上することができた。さらに、デジタルバランス法で線形成分を打ち消すことにより、測定装置のダイナミックレンジにあまり影響されることなく、微少電場下における高精度の非線形緩和スペクトル測定が可能となることが確認できた。 本年度はさらに、強誘電性液晶のSmC^*相における非線形誘電緩和スペクトル測定を行うことで、システムの実用性の評価を行った。その際、測定用のセルとしては、相転移点近傍での臨界挙動を精度よく測定できるように高精度の温度コントローラを用いた高感度の温度制御が可能なものを作成した。測定により得られた線形および3次非線形誘電緩和スペクトルを現象論に基いて理論的に計算されたスペクトルと比較することで、強誘電性液晶を表示デバイスとして用いる際に重要である、自発分極や回転粘性係数などの物性量を精度よく、同時に測定することができた。 さらに、開発されたシステムを、出力として試料からの透過光強度を測定する電気光学スペクトエオスコピーにも応用し、強誘電性液晶のSmC^*相における非線形電気光学スペクトルの測定を行った。その結果、入力電場周波数に対する奇数次の周波数成分からは非線形誘電緩和スペクトルと等価な情報が、また偶数次の周波数成分からは液晶の光学的異方性に関する情報を得ることができた。
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