研究課題/領域番号 |
09555021
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丹司 敬義 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (90125609)
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研究分担者 |
富田 正弘 (株)日立製作所, 計測器事業部, 統括主任技師
平山 司 (財)ファインセラミックスセンター, 主任研究員
木村 啓子 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (60262862)
花井 孝明 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (00156366)
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キーワード | 電子線ホログラフィ / 微分干渉法 / 微分顕微鏡法 / 電子線台形プリズム / 実時間位相計測 |
研究概要 |
本研究は、高精度かつ高空間分解能な位相計測法である電子線ホログラフィの特長を生かしつつ、その応用上の制約の一つ、「参照波として、平面波が不可欠である」という点を克服するため、本研究者等が考案した「電子線台形プリズムを用いた微分干渉法」の精度をより向上させ、かつ、30分の1秒の時間分解能で連続観察できるシステムを構築することを目的としている。 電子線台形プリズムとは、2枚の平行接地電極間に、直径0.3μmの2本のフィラメント電極を平行に同電位にして配置したものである。これにより、微分干渉法の処理手続きが、単純化され、連続観察が可能となる。従前は、2本のフィラメント電極の取り付けを、光学顕微鏡下で、簡単なジグのみを用いて行っていたため、電極間距離は、0.3mm以上に制約され、平行性にも限界があった。 そこで、本年度は、電子顕微鏡に実装した上で、数千倍に拡大した状態で、10μm程度にまで電極間隔の調節が可能なプリズムを設計製作し、現在動作確認中である。 一方、微分干渉法の弱点である、弱位相物体に対する感度の低さを補うため、2つの再生波動関数間の数値演算により、位相の微分像を直接求める方法を採用し、磁性薄膜内の磁化ベクトルを直接観察できることを示した。また、この直接微分顕微鏡像を求める方法の弱点として、感度の高さから、プリズムによるフレネル回析が、非常に強いコントラストとなって現れることがわかった。そこで、これを抑えるために、干渉縞の正確な強度の計算機シミュレーションを行い、試料の入っていない真空領域でのホログラム(ブランクホログラム)を用いることにより、フレネル回析によるコントラストを、1/5程度に小さくできることを見いだした。
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