研究課題/領域番号 |
09555021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用物理学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丹司 敬義 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (90125609)
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研究分担者 |
富田 正弘 株式会社日立製作所, 計測器グループ, 主任技師
平山 司 財団法人ファインセラミックスセンター, 主幹主任研究員
花井 孝明 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (00156366)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 電子線ホログラフィ / 微分干渉法 / 微分顕微鏡法 / 電子線台形プリズム / 実時間位相計測 |
研究概要 |
本研究は、高精度かつ高空間分解能な位相計測法である電子線ホログラフィの特長を生かしつつ、その応用上の制約の一つ、「参照波として、平面波が不可欠である」という点を克服するため、「電子線台形プリズムを用いた微分法」を考案し、その精度の一層の向上と、30分の1秒の時間分解能で連続観察できるシステムを構築することを目的とした。 初年度には、弱位相物体に対し感度が低いという微分干渉法の弱点を補うのに、2つの再生波動関数間の数値演算により、位相の微分像を直接求める微分顕微鏡法が有効であることを示した。次年度には、磁性薄膜内の磁化ベクトルや、単磁区微粒子から漏洩している磁界の磁束密度を2次元微分により直接観察できることを示した。ただし計測制度を高めるためには、すべての再生結果の基準位相成分を正確に一致させる必要があることもわかった。また、この微分顕微鏡像を直接求める方法の弱点として、感度の高さから、プリズムによるフレネル回折が、非常に強いコントラストとなって現れるが、試料の入っていない真空領域でのホログラム(ブランクホログラム)を用いることにより、フレネル回折によるコントラストを、1/5程度に小さくできることを見いだし、本年度はこれを実際に適用して、高質の2次元微分像を得た。また、プリズムでのフレネル回折も考慮した電子線ホログラムの完全なシミュレーションプログラムを完成し、微分法における回折効果、ブランクホログラムによる補正効果を正確にシミュレートすることができるようになった。また、矩形波の交流をプリズムに印加してビデオテープに記録したホログラムから、二重露光ホログラムのシミュレーションに近い結果が得られ、連続観察が原則的に可能なことを示すことができた。ただし、SN比の関係から現状では約1秒の分解能しか得られていない。またこの場合には、フレネル回折のコントラストを軽減すると共に、モアレ縞に対する配慮も重要であることが明らかになった。実時間観察のためには、SN比を向上させるために、より干渉性の高い電子源、及び電子光学系の考案が今後の課題である。
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