研究概要 |
本年度は以下のような研究実績があった. サブミクロンの分解能をもつプローブの開発とそれに対応した精度をもつ高分解能型非線形誘電率顕微鏡システムの開発を行った. 即ち,本研究者は現在までに,発振器に接続された同軸共振器または集中定数型LC共振器の端面の非常に微小な領域に被測定用強誘電体を近接させ,誘電率の非線形性と外部から印可した交番電界により生じた誘電率の交番的変化を,共振器の共振周波数に同調した発信周波数の交番的変化としてとらえることにより,強誘電体セラミックス,強誘電体単結晶及び高分子フィルム中の永久分極分布の観測に成功している.このプローブの分解能は去年度までの研究でサブミクロン領域まで達していたが,これをナノメータの大きさの分極ドメインを観測するのに十分なまで高めることに成功した. 具体的にはプローブ用探針として電界エッチングを施したW芯を用い,このプローブの能力が充分に引き出せるステージ系や除振系を組み合わせることによって,ナノメータオーダーの小さな分極ドメインを計測できる高分解能型走査型非線形誘電率顕微鏡を開発した. その結果人工的にLiTaO3基板中にプロトン交換法により作製したストライプ状の分極反転層の観測や,脱分極したPZTセラミックス中の非常に小さな分極ドメインの観測,及びBaTiO_3単結晶のナノメータメケールの分極の観測に成功した.
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