研究概要 |
本年度は,真空,湿潤あるいは乾燥置換ガス環境,さらに水環境中において動作可能な環境対応型原子間力顕微鏡と環境対応型動的試験装置を組み合わせて,環境質制御ナノ欠陥追跡・解析装置を開発した。その試作装置の主な仕様は以下の通りである。動的荷重負荷方式:電磁力方式;最大動的荷重:50N(真空中),100N(アクチュエータをガス環境中に露出させた場合);最大アクチュエータ変位量:±2mm;制御量:荷重あるいはストローク;試験波形:一定値制御(荷重,変位),正弦波,三角波,ランプ波,パルス波,および任意のプログラム波形など;試験環境:真空(10^<-3>Pa),湿潤(乾燥)置換ガス環境,水溶液環境;走査型原子間力顕微鏡の分解能:0.54nm以下(マイカの原子像観察可能);最大走査範囲:xxyxz:60μm×60μm×7μmである:トップビューワー(観察位置,探針の位置観察用光学顕微鏡システム):1500倍;環境ボックス:ステンレス鋼製。本年度は,本試作装置が所望の性能を有していることを確認するとともに,試作装置と微小材料機械的特性評価試験装置を用いて,セラミックス系単繊維の引張荷重保持下および変動応力下の試験を実施するとともに,原子間力顕微鏡を用いてナノメータオーダで単繊維表面の損傷を可視化した。その結果,空中の変動応力下および水環境中の一定持続荷重下ともに応力繰返し数あるいは時間の経過とともに,nmオーダの表面あらさが増大することを明らかにするとともに,そのあらさの増大速度を求め,本試作装置の有用性を確認した。
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