研究概要 |
平成9年度には、高速赤外線サーモグラフィを基礎としたサーモマイクロスコープ計測システムを構築するとともに,これを用いた接触応力分布計測,フレッティング疲労時における接触部近傍の温度分布計測,研削温度計測を行った.これまでに得られた研究成果を以下に示す. (1)高速赤外線サーモグラフィを基礎に,これに温度分布データ処理装置を付加し,接触部およびその近傍の温度分布の高精度計測が可能なシステムを構築した. (2)接触状態にある二つの物体の一方に赤外線透過材料を用いた場合に、接触面の温度分布が赤外線サーモグラフィにより透過材料越しに計測できることを応用して,同手法を接触応力に起因する熱弾性発熱による温度分布計測に適用し,接触応力分布のその場可視化計測法の開発を行った.スタンプ型の平面接触および球面と平面のHertz点接触における接触応力分布の計測を行った.その結果,平面接触においては接触応力の発生部位を鮮明に可視化計測することができ,荷重振幅の違いによる応力変動値の違いも定量化できることが明らかとなった.さらに,球面と平面の点接触における接触応力分布計測においては,Hertz理論に良く符合する接触応力分布の計測結果を得た. (3)構築した計測システムを用いて,フレッティング疲労き裂発生時の接触部近傍の温度分布を詳細に計測することにより,フレッティングき裂発生の初期段階における接触面の状態および応力分布の評価を行った.その結果,フレッティング疲労き裂発生時の摩擦係数の変化,スティックスリップ条件の発生,およびこれに起因する応力分布を詳細に計測することが可能となり,その結果は数値シミュレーションによる計測とよく一致した.
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