研究分担者 |
井岡 誠司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50283726)
小倉 敬二 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70029007)
久保 司郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20107139)
正田 昌宏 株式会社ニコン, 技術開発本部・デバイスセンター, 課長(研究者)
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研究概要 |
平成11年度には,高速赤外線サーモグラフィを基礎としたトライボロジ現象のその場計測システムを用いて,接触応力分布計測,およびフレッティング疲労き裂発生・進展時における応力分布のその場計測に関する検討を行った.得られた研究成果を以下に示す. (1)高速赤外線サーモグラフィ,近接拡大光学レンズ,赤外線計測データを高速で処理できるロックイン信号処理装置による熱弾性応力評価システム,および電気油圧サーボ試験機にフレッティング・リグを付加した試験装置から構成される,フレッティングき裂発生・進展評価システムを構築した. (2)フレッティングき裂発生・進展評価システムを用いて,フレッティングき裂発生およびき裂進展時における応力分布の計測を行った.ポリカーボネート試験片および円筒接触面を有するポリカーボネート接触片を用いて,フレッティング状態下の試験片および接触片の応力分布のその場計測を行った.この時,ポリカーボネートの透明性を利用して,フレッティングき裂発生および進展状態,および試験片と接触片の接触状態の観察を,赤外線応力計測と同時に実施した.接触片に負荷した荷重の増大に従って,フレッティング特有の接線カの作用に起因する応力集中部位が見られた.また,この応力集中が最も顕著な位置から,フレッティング疲労き裂が発生することを確認した. (3)接触片に赤外透過材料を使用して,フレッティング状態における接触面近傍の温度分布を接触片越しに直接計測した.これにより,熱弾性応力計測法を試験片の接触面における応力変動の計測に適用した.その結果,フレッティング疲労き裂発生に,接触片の三次元的な接触による応力分布の影響が見られることが明らかとなった. 4)接触面の熱弾性温度変動を赤外線透過材料越しに計測することによる,接触応力分布その場計測法の精度改善に間する検討を行った.変動圧縮負荷の下で接触面積が変化する球面対平面のHertz点接触において,新しい赤外線データ処理手法を用いることにより,接触応力分布を精度良く計測できることを実験的に示した.
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