研究概要 |
本年度は開発の第一段階として計測ヘッド部寸法約60mm×30×25mmの小型ひずみ計測システムを試作した.このシステムは小型1/4インチCCDカメラと小型半導体レーザを用いることにより小型システムとした,また現有システムである1光束2センサシステムと新たに提案する1光束1センサシステムの小型計測ヘッド部を作製した.さらに小型計測システムの計測分解能向上のためミラーを用いた計測システムについても検討した.得られた結果を以下にまとめて示す. 1.単軸引張試験により1光束2センサシステムと1光束1センサシステムの精度検定試験を行った.両システムともレーザスポット径d(計測標点距離)が0.35mmという小標点距離であっても精度の良いひずみ計測が可能であった.このときのレーザ波長λは633nm,センサ距離Lは20mm,センサ角度θは60°であった.ビーム径が細くなるとともにスペックルパターンが粗くなるので,センサ距離Lを小さくする必要があることがわかった.しかしセンサ距離Lが小さくなると計測分解能が悪化した.そのため本実験の波長λでの標点距離とセンサ距離の限界は,それぞれd=0.35mm,L=20mm程度であることがわかった. 2.1光束1センサシステムでは剛体変位の影響を取り除くため,計測対象に計測ヘッド部を固定する方法を考案した.これにより精度良くひずみが計測できることが分かった.また従来システムでは計測位置がずれていくような数%にも達するひずみ計測に対しても同一点のひずみが計測可能であることが分かった. 3.システム小型化のためセンサ距離Lを小さくする必要があるが,このことは計測分解能の低下を招く.そこで計測分解能の低下を防ぎながらなおかつ小型化する方法として,スペックルをミラーで正反射させセンサ距離Lを稼いぐ方法を考案した.ミラーにより導光することにより,観察距離を稼ぎながらスペックル移動を捉える計測システムが有効であることが分かった.
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