研究概要 |
平成9年度に製作した実時間等高線等変位線表示装置を一般の物体の形状計測および変形計測に適用し,その有効性を確認し,応用分野について検討した.また,この装置の長所と短所を抽出し,より高精度で高速なアルゴリズムを新たに考案し,実現させるための検討を行った.本研究で得られた成果を次にまとめる. 1. 輝度分布がノコギリ波状の格子パターンを用いて石膏模型,ゴムボール,歯形などの一般の物体の形状変形計測実験を行った.従来の方法では変化の方向(凸か凹か)の情報は持てなかったが,本実験の結果,ノコギリ波状の等高線および等変位線が得られ,変化の方向が輝度変化の向きで表されることを確かめた. 2. 高輝度のプロジェクターを用いて人体の形状計測や変形計測を行い,比較的大きな物体にも適用可能であることを確かめた. 3. 微小物体の計測に適用するために,実体顕微鏡用の格子投影装置を開発した. 4. ヘルスモニタリングシステムに適用するための検討を行った.その結果,一般のビデオ伝送システムを通じて計測結果を遠隔地に送信することにより,ヘルスモニタリングに適用可能であることがわかった. 5. インプロセス計測加工に用いるため,計測結果を試料表面に再投影するためのプロジェクターの設計を行った.計測結果の画像を試料物体表面上に直接投影するために,計測用カメラとプロジェクターの光軸を同一となるように調整する. 6. 高精度化,高速化するための方法を検討した.その結果,新たなアルゴリズムを考案した. 7. 上記の新アルゴリズムを実現するためのハードウェアの回路設計および専用プロジェクターの概念設計を行った. 8. 上記新アルゴリズムは当初の計画よりも優れた方法であり,実用化するには本科学研究補助金だけでは足らず,現在,地域コンソーシアムで新たなプロジェクトとして実施中である. 9. 以上により,当初の期待通りの成果が得られた.
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