研究概要 |
本年度は,精密砥粒供給装置とAJM装置の噴射性能を評価するシュリーレン評価装置を試作した.試作予定であったリニア超音波搬送装置は,金属板に圧電素子を張り付けた構造で,圧電素子に位相の異なる正弦波を加えることにより,金属板に屈曲運動を起こさせるものであった.しかしこのタイプのものは全体の大きさを小さくすることができなかったため,円管に生ずる進行波を利用する構造に変更した.これは外径8〜10mm,内径1mm程度,厚さ1mmのリング状圧電素子にパイプを挿入し,パイプに進行波を発生させ,砥粒を搬送するものである.これにより,直径,長さとも10mm前後の小型搬送装置を試作することができた.駆動周波数は200kHz程度で,信号振幅を変化させることにより砥粒搬送量を変化させることができる.今後,圧電素子の各部の寸法,パイプの材質,寸法等と,搬送量の関係について検討する必要がある. 一方,AJM装置のノズルから噴射される固気2相流の状態を観察するため,シュリーレン法を利用した評価装置を試作した.噴流のサイズが小さいために拡大観察しなければならず,通常のシュリーレン装置では十分な輝度,分解能が得られない.そこでレーザ光源と高感度CCDカメラを用いてシュリーレン装置を構成した.CCDカメラからの画像をPCに取り込み,画像処理できるようにした.その結果,微小径ノズルから噴出する搬送ガス流単体,砥粒とともに噴出するガス流を観察できるようになった.平成10年度はこの装置により,試作した2重ノズルと小型マイクロAJM装置の性能試験を行う予定である.
|