研究概要 |
最初に,平成9年度で試作したパイプ進行波型精密砥粒供給装置の性能評価と耐久試験を行った.その結果,実験室レベルではうまく作動するが,現場での長時間の使用を想定した稼働試験では時間の経過とともに圧電素子とパイプの接合面で振動エネルギーの伝達ロスのために温度が上昇し,特性が劣化することが明らかになった.そこで再度,構造,原理を見直し,ノズルからの1回あたりの噴射量を少なくし,それを100Hz前後の周波数で間欠噴射させる新しい砥粒微量供給装置を試作した.この装置の供給特性について調べるとともに,長時間の稼働試験を行い,十分実用に耐えられることを確認した.また1回あたりの砥粒供給量を0.5mgと小さくし,それを100Hz前後の周波数で断続供給することが可能であることも確認した. 次にこれを組み込んだAJM装置を開発し,平成9年度に試作したシュリーレン法を利用した評価装置を用いて噴射性能について評価を行った.試作した小型NM装置は,100Hz程度で間欠噴射でき,従来の連続噴射に比べて噴射する砥粒量は少ないが,加工能率は逆に高くなることが明らかになった. 最後に,この装置を歯科治療とダイレクトエッチングに適用し,その効果を確認した.前者の歯科治療においては,虫歯の部分を無痛で選択的除去できることを確認した.また後者では,試作した小型AJM装置を複数個集積させ,ガラス板や金属板の上に砥粒でエッチングし,描画することのできるアブレイシブジェットプリンタを試作した.その結果,ガラス基盤に任意のパターンを高速で描画することが可能になった.
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