研究概要 |
アブレイシブジェット加工(以下AJMと略記する)の高能率化,高精度化のためには,微細砥粒の噴射量を正確に制御でき,間欠噴射が可能なAJM装置が必要不可欠である.最初にノズル近傍の噴射状態を評価するための微小噴流シュリーレン装置を試作した.次にAJM装置の心臓部である砥粒微量供給装置を新たに開発した. 予備実験として,超音波振動を利用した方法と高速電磁弁を用いた方法の2つについて検討した.前者の方法として,金属板に圧電素子を張り付けた構造で,圧電素子に位相の異なる正弦波を加えることにより,金属板に屈曲運動を起こさせることにより砥粒を供給するリニア超音波搬送装置,外径8〜10mm,内径1mm程度,厚さ1mmのリング状圧電素子にパイプを挿入し,パイプに進行波を発生させ砥粒を供給する円管型供給装置の2種類を試作した.しかし実験室レベルではうまく作動するが,現場での長時間の使用を想定した稼働試験では時間の経過とともに圧電素子とパイプの接合面で振動エネルギーの伝達ロスのために温度が上昇し,特性が劣化することが明らかになった. そこで本研究では後者の高速電磁弁を用いる方法について検討した.これは1回あたりの砥粒供給量を0.5mgと小さくし,それを100Hz前後の周波数で断続供給するものである.次にこの供給装置を組み込んだAJM装置を試作し,その加工特性について調べた.試作した小型AJM装置はパーソナルコンピュータにより制御する.その結果,搬送ガス圧力,ガス供給量,砥粒混合量,間接供給の時間間隔とデューティ比をリアルタイムに変化させることができ,加工状態を制御することが可能であることが明らかになった.この装置は従来のものと比べ格段に小型で,間欠噴射,定量微小量供給が可能であることがわかった. その応用として虫歯の無痛選択的(虫歯のところしか除去しない)治療器具,およびダイレクトエッチング装置(アブレイシブジェットプリンタ)を開発し,良好な性能を発揮することを確認した.
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