研究概要 |
工業的に要求される表面の幾何学的形状では,極めて平滑な面が要求されることが多いが,摩擦力軽減の目的から微細凹凸をつけた表面が要求される場合がある.本研究はこのような目的に対し,レーザ光照射でそれを実現できるのではないかと考えて検討したものである. 昨年度,ArFエキシマレーザ光(波長193nm)をエネルギー密度,照射パルス数,照射角度を変えて石英ガラスに照射し,方向性のある微小溝を形成させることができた.さらに,その形成条件を明らかにすることができた. 今年度は液晶表示体の液晶配向膜に使われているポリイミドに対し微小溝の形成を試みた.配向膜では,布で擦ることで表面に微小溝を形成させている.この処理のことをラビングと呼び,ハイテク産業を支える最も古典的手法であり,これに変わる技術開発が望まれている. 昨年度同様,エネルギー密度,照射パルス数,照射角度を変えて照射した.その結果,照射条件によって3種類に大別できる微小凹凸を形成させることができた.3通りとは,ドット形状,照射方向に直角な段差形状,照射方向に平行な溝形状である.とりわけ照射方向に平行な溝形状は,液晶表示体の配向膜のラビング処理による形状に似ているところから,表示体セルを作製し,液晶の配向特性を調べた.その結果,液晶は配向した. ここで得られた結果は,従来ラビングと呼ばれる布で擦る行程をレーザ照射に置き換えられる可能性を提示したものであり,意義あるものと考えている.
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