研究概要 |
燃料油を試料油として,軽荷重条件で摩擦試験を行うことが可能な往復動型摩擦試験機の設計・作製を行った.軽油の規格摩耗試験も考慮に入れ,荷重,振幅,周波数などの試験条件,装置の構造等の点に検討を加え,研究目的に合致した試験機の試作を行った.試験片には安価に入手でき製品品質が安定している.転がり軸受け用鋼球(SUJ2軸受鋼製,呼径11/32″)とコロ(SUJ2軸受鋼製,φ10×L14)を採用し,コロ端面と鋼球の摩擦という形式を採用した.振幅測定は非接触変位計を用い,摩擦力測定はピエゾ型のトルク変換器を用いた.各測定信号は高速A/D変換器を介してコンピュータに取り込み,一周期中の摩擦変動が解析できるようにした.予備実験として,市販のレギュラーガソリン,プレミアムガソリン,軽油,プレミアム軽油,灯油の5油種に加え,純粋な炭化水素化合物である,イソオクタン,n-ヘキサデカンの2種の計7種のサンプルについて摩擦試験を行った.イソオクタンはガソリン留分のモデル化合物として,またn-ヘキサデカンは軽油留分のモデル化合物として用いたものである.試験中の摩擦力測定,試験後の摩耗痕径測定から潤滑性を評価し,試験機,実験手法としての性能把握を行った.またこれと平行して,各種分析機器を用いた,試料油および摩擦表面の分析手法,分析条件の探索を行った.摩擦により試料油中に生じる極めて微量な劣化物は,紫外検出器付き液体クロマトグラフィーを用いたGPC分析により分析可能であることが明らかとなった.また,摩擦面上の微少部分に付着した有機物の分析には顕微赤外分光高度計が有効であった.
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