研究概要 |
昨年度試作した,軽荷重条件で摩擦試験を行うことが可能な往復動型摩擦試験機の修正改良を行った.主な改良点は振動対策,温度,雰囲気調整,等である.試験片には安価に入手でき製品品質が安定している,転がり軸受用鋼球(SUJ2軸受鋼製,呼径11/32″)とコロ(SUJ2軸受鋼製,Φ10×Ll4)を採用し,コロ端面と鋼球の摩擦という形式を採用している.今後自動車用ディーゼル燃料油としての用途増加が期待される分解軽油に着目し,それに深度脱硫を行った場合に考えられる潤滑上の問題点を検討した,特に分解軽油中に多く含まれる芳香族留分によって耐摩耗添加剤の効果に差異が生じるかを検討した.モデル軽池として-ヘキサデカンを用い,芳香族留分のモデルとしてブチルベンゼン,メチルナフタレンを用い,適宜混合してその影響を検討した.また,モデル耐摩耗添加剤としてステアリン酸とカテコールを用いた,その結果,ステアリン酸,カテコールともに低濃度でその効果を発揮するが,ステアリン酸はある濃度域で急激に効果を発揮するが,カテコールは濃度増加に連れ徐々にその効果を発揮することが明らかとなった.また,芳香族分存在下ではカテコールはより低濃度でその効果を発揮するのに対し,ステアリン酸は芳香族成分の有無によって効果に影響は見られなかった.フェノール性水酸基を有する解離性の高いカテコールは,芳香族留分によって引き込まれる水分によって電離し,強い極性を持つようになり,金属摩擦表面に吸着しやすくなり,より低濃度で効果を発揮するものの,高濃度になると腐食的に摩耗を増加させることが明らかとなった,一方,ステアリン酸は解離性が低くく,水分の影響は受けず安定した摩耗低減効果を示すことが明らかとなった.
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