研究課題/領域番号 |
09555055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)
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研究分担者 |
柳沢 雅弘 日本電気(株), 機能エレクトロニクス研究所, 主管研究員
志村 考功 大阪大学, 工学部, 助手 (90252600)
田川 雅人 大阪大学, 工学部, 助手 (10216806)
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キーワード | RHEED / トライボロジー / 角度分解 / 二硫化モリブデン / 表面工学 / 吸着 / 電子衝撃脱離 |
研究概要 |
極表面の3次元構造を解析するために、角度分解反射高速電子線回折装置(AR-RHEED)の設計・製作を行った。設計した超高真空槽内をコンビネーションポンプ(スパッタイオンポンプとチタンサブリメーションポンプ)とターボ分子ポンプによる真空排気により10^<-10>Torr以下の超高真空とし、AR-HEED測定中に表面を汚染しない雰囲気を実現した。AR-HEEDの電子銃は真空外からベローズ操作で、また電子銃内では偏向コイルによって電子ビームの入射角を可変できるように設計した。電子ビームのスポット径は現在のところ200ミクロンであるが、小孔を有するアパ-チャーの採用で50ミクロン程度まで絞ることが可能である。また、マイクロチャンネルプレートを蛍光スクリーン前面に装着することにより、RHEED像の輝度が著しく向上し、目視によるパターン変化の識別が極めて容易となった。 電子線衝撃によって表面から脱離する分子は四重極質量分析管によって検出しているが、現段階では非常に微弱なシグナルしか得られていない。しかしながら、この問題はイオン源の動作条件の最適化とイオンカウンティング法の採用で解消することができると考えられ、本研究で問題となる高感度測定の大きな障害とはならないものと思われる。 RHEEDの入射角を1度未満とし、ほぼ表面に平衡に入射を行っても二硫化モルブデンやグラファイトの基底面のRHEEDパターンが鮮明に得られている。また、分子線エピタキシ-法によって作製したフラーレンの単分子膜あるいはシリコン(111)面の超格子構造(√3x√3,7x7)も観察されるので、本装置の機能は実験の実施に何らの問題もないものと思われる。 現在はさらに入射角の低減を試みており、吸着層や汚染層の解析を続けている。
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