研究概要 |
本研究では,超高速回転機械,超精密機器などの支持要素として広く用いられている動圧形気体軸受に特有の剛性・減衰能力の不足に対処するために,運転状況に応じて軸受すきま形状を能動的に変化させ得るようなシステムを考案し,これによって急激な荷重変動やすきま変動に対して軸受すきまを十分に確保し,しかも振動減衰能の最適化を図って軸受機能を飛躍的に改善することを目的としている.本年度は昨年度にほぼ完成させた軸受試験装置を用いて様々な変動荷重下における振動実験を行い,実験モード解析によって動特性を同定し,軸受すきまの制御性を検討した. 実験はビルトイン形高速モータにより回転数を10000rpmから40000rpmまで2000rpmステップづつ増速させて行った.回転数の値を一定に固定したのち,ステータ頂部にハンマーによって打撃を加え,その結果生じる上下方向振動を非接触変位計によって検出・記録した.なお,実験モード解析法によって軸受部の弾性・減衰係数も同時に計測した.ステータ頂部にはこの他に加振機によって周期的外力を負荷し,上に述べた衝撃荷重の場合と同様の検討を行うとともに,軸受システムの周波数応答特性の測定も実施した.この結果,最適化軸受は想定した十分な機能を発揮することが確かめられた. 最後に,以上によって得られる研究成果を基に本軸受システムの実用化へ向けての指針を提案している.なお,研究課程において得られる成果については,既に一部発表しているが,今後も逐次特許申請,あるいは国内外の主要学会において発表の予定である.
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