研究概要 |
研究代表者は,1988年度よりサンシャイン計画の一環として実施されている「超伝導電力応用技術開発」に参加する機会を得て,超伝導電力機器に適用可能な高効率・高信頼性を有するヘリウム冷凍機の設計・試作に関わってきた.その中で,回転数27万rpm,一年間連続運転可能の要求使用に対して,ヘリウムガスを潤滑流体とする動圧形気体軸受の導入を検討したが,上に述べた動圧形気体軸受特有の剛性及び振動減衰能力の不足から要求仕様を満たすことが困難であり,やむを得ず静圧形軸受を使用した経験を有している.このような技術的背景と経験の下に研究代表者は,軸受すきま形状を圧電アクチュエータによってアクティブ制御することにより軸受動剛性の最適化を図り,急激な荷重変動やすきま変動に対して軸受すきまを十分に確保できるような動圧形ステップスラスト気体軸受システムを検討した. 本研究では,超高速回転機械,超精密機器などの支持要素として広く用いられている動圧形気体軸受に特有の剛性・減衰能力の不足に対処するために,運転状況に応じて軸受すきま形状を能動的に変化させ得るようなシステムを考案し,これによって急激な荷重変動やすきま変動に対して軸受すきまを十分に確保し,しかも振動減衰能の最適化を図って軸受機能を飛躍的に改善することを目的としている.研究期間は平成9年度と10年度の2年間であり,平成9年度は主として高速域における軸受の理論解析と高速気体軸受装置の設計と製作を行った.平成10年度はこの軸受装置を用いて様々な変動荷重下における振動実験を行い,実験モード解析によって動特性を同定した.これらの成果は以下に示す論文等に公表されている.なお,軸受すきまの能動制御実験についても今後速やかに行う計画であることを付記しておく.
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