今年度は、まず従来の研究をもとに水潤滑静圧コニカル軸受を用いた高速回転用精密スピンドルの設計・製作を行った。この精密スピンドルは、一対のコニカル軸受を持ち、軸中央部に高周波モータを組み込んだ構造となっており、12万rpmまでの回転が可能である。スピンドル製作後に、基本的な性能試験を行った結果、以下のようなことが明らかとなった。 (1)スピンドルの動釣り合いを十分にとることによって、スピンドル先端のふれを2μm程度に抑えることができる。 (2)12万rpmにおいて150Nの負荷荷重を加えても、製作したスピンドルは軸と軸受が接触することなく十分安定に回転する。 (3)12万回転で、軸受すきまを8μmに設定した場合のスピンドルの消費動力は240Wであり、モータ動力500Wに比して十分小さく、本スピンドルは小径ドリル用として、消費動力の上からも十分対応できることが明らかとなった。 (4)本スピンドルの温度上昇は、供給潤滑水を空冷することによって、小さく抑えることが可能である。 以上に述べた基本的な性能試験から、設計・製作したスピンドルは、小径ドリル用精密スピンドルとして十分な性能を持つことが明らかとなった。今後は本スピンドルを用いて穴空け試験を行い、本スピンドルの有用性の確認を行う予定である。
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