本年度は、試作した水潤滑高速スピンドルを用いて最高回転数14万rpmまでの穴あけ加工試験を行った。穴あけ加工試験では、次のような測定をすることにより、試作したスピンドルの加工性能評価を行った。 1. 画像計測装置を用いて加工した穴形状(穴直径等)を測定する。 2. 画像計測装置を用いて、ドリル穴の穴位置の精度を測定する。 3. 切削動力計を用いて、ドリルのトルクおよびスラスト力の測定を行う。 4. 表面粗さ計を用いて加工穴の内壁の粗さを測定する。 以上の加工試験および性能試験から、以下のような結論が得られた。 (1). 一回転あたりのドリルの送り量を一定にした場合、スピンドルの回転数が高くなるにつれ、スラスト力の低下が見られた。 (2). 加工穴の位置精度は、回転数にはほとんど影響されない。したがって高速化することにより、精度を低下させることなく、より高い生産能率が得られることになる。 (3). 加工穴内壁の表面粗さは、回転数が高くなるにつれ、減少する傾向が見られた。 以上本研究では、水潤滑高速スピンドルを試作し、実際に穴あけ加工試験を行った。これにより、本スピンドルを用いて14万rpmでの高速穴あけ加工が可能となった。また加工穴の各種精度も従来の6〜8万rpmでの加工精度に比べ同等以上のものが得られており、このスピンドルにより、高い生産効率を達成できることが明らかとなった。
|