研究概要 |
本研究は,無侵襲性の極めて高い治療法として,表面冷却とレーザ照射を併用した新しい治療法の開発を目指し,基礎データを蓄積して熱工学的な裏付けを行うと共に,動物実験によってその実用可能性を探ることを目的として進めている.本年度は初年度として,まず必要基礎データを蓄積収集する意味で,生体組織のレーザ光の吸収特性を測定した.実際の生体には血流があり,その影響は非常に大きいが,まず食肉について,次に切除した生体組織について測定した.次に,レーザ照射動物実験を行い,レーザ光の強さの影響,必要冷却能の影響を調べると共に,組織断面をとって焼灼の程度を確かめ,本方法の有効性を確認した. 上記の具体的内容についてもう少し詳しく記すと,レーザ光の透過性については測定体を2枚のガラスではさみ,光エネルギーの透過強度を測定し,被測定体の厚さを変えた測定により,ビアの法則を適用して透過率(吸収率)を決定した.血液を別にすると,構成組織(皮膚層,筋層,内層など)による差はあまりなかった.次年度は動物実験により生体組織の測定を計画している.加熱動物実験では,被加熱体の表面にそって冷水を流しつつ,上方からレーザを照射したときの被加熱組織の温度を測定し,加熱終了後は被加熱体の断面図を観察,写真撮影して組織の変化と凝固部位の測定を行なった.解決すべき問題も多々あるが,基本的には本治療法の可能性が確認できた.
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