研究課題/領域番号 |
09555074
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤井 丕夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (90038589)
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研究分担者 |
賀来 千織 (株)パラマ, テック・生体計測研究所, 研究員
張 興 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (40236823)
富村 寿夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (70136563)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 骨密度の測定 / 非侵襲法 / 超音波CT / 数値シミュレーション / 実験 |
研究概要 |
本研究は、超音波CT(コンピュータトモグラフィー)法を用いた生体の骨密度測定装置を開発することを目的とする。骨組織については超音波の透過率が低く、また音波の屈折があるため、超音波の透過特性や屈折の影響を考慮した信号処理および再構成アルゴリズムの開発が必要であり、以下の計画にしたがって研究を進めた。 1)骨を模擬した部分を透過した超音波の特性、すなわち音速および分散特性の検討。2)CTデータの収集に最適な透過超音波の信号処理法の確立。3)音波の屈折を考慮したデータ解析手法の確立。4)実用装置の開発に関連した課題の解決。以下に本研究の主な成果を列挙する。 (1) 既知の音波伝播特性を持つ単純形状の固体を対象にした測定および数値シュミレーションを行い、形状の差異や密度の極端な違いが超音波の透過特性に及ぼす影響を明らかにし、CTデータ収集に必要な計測条件を決定した。 (2) CT法の理論的な検討を行い、屈折がある場合に適用できる再構成アルゴリズムを開発した。これは、音波が直進すると仮定して得られる音速分布を第一近似値とし、この分布に対して音線の軌跡を計算し、遂次近似法による再構成で音速分布の第二近似値を求める方法である。この手法により、物体の拡大やそれに伴う音速の低下をもたらす屈折の影響を大きく低減できた。 (3) ヒトの指を対象にした測定を行い、透過超音波の信号処理の最適条件について調べるとともに、投影データの欠落部の補間法を確立した。これまで、指骨の形状が判断でき、骨の音速にオーダー的に一致する音速分布の再構成結果を得ることに成功した。 (4) 指骨の実際の形状は非常に複雑で、音速分布が不規則であるため、音線の軌跡の計算が容易でなく指骨に対して第二近似の音速分布は得られていない。しかし、骨密度の計測はある程度相対的な値で求めることで十分実用性があると考えられ、現状での骨密度測定装置としての実用化を目指している。
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