研究課題/領域番号 |
09555075
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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研究分担者 |
古畝 宏幸 ラフォーレエンジニアリング株式会社, 技術部・研究開発グループ, 主任研究員
池田 満里子 慶應義塾大学, 文学部・生物学, 教授 (00051368)
長坂 雄次 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (40129573)
柘植 秀樹 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70051688)
岡 浩太郎 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (10276412)
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キーワード | 光合成 / バイオリアクター / 炭酸ガス固定 / 地球環境 / クロレラ / 光環境 |
研究概要 |
地球環境における炭酸ガス増加に対する有効な手段として微細藻類サスペンションにおける光合成を利用するガス交換システムが考えられている。火力発電所や大型プラントの排気中の炭酸ガスを固定するためには、大容量のガス交換を行うことになり、高いガス交換効率を持つシステムが不可欠となる。藻類サスペンションにおける光合成は藻類が浮遊している状態で光を受け、炭酸ガス吸収と酸素ガス発生を行っているが、ガス交換効率を改善するためには藻類サスペンションの流道と光照射がどのようにガス交換に影響を与えているかを明らかにしなければならない。しかしながら、研究代表者はこれまで、藻類の光合成を利用するフォトバイオリアクターの効率改善を、リアクター内流れと光環境の制御によって行っており、従来のリアクターよりもかなり高い効率を得ている。リアクター内では藻類は流れにによって攪拌されるため、藻類表面の色素が光照射を受ける頻度が高まり、さらにリアクター内の光を多方向に散乱させることにより、藻類の最大活性の80%の光合成機能を引き出すことに成功している。そこで本研究では、藻類光合成バイオリアクターのガス交換効率の改善を目的として、リアクター内に蛍光物質を塗布した散乱粒子を分散させ、光の波長を変化させ、藻類の吸収スペクトルの最大値の光の増幅を可能とするリアクター技術を確立する。このような光環境の方式を本研究では、カスケード型超散乱と名付け、リアクター内のすべての藻類に均等に光が照射されるような光環境を実現しようとするものである。本年度では、とくに光環境の改善を目的として、散乱粒子の利用と同時に反射板の利用も試みた。即ち、管状リアクターのモジュールを反射板で囲み、反射材を一般の銀反射及び蛍光物質を塗布したものを使用した。用いた藻類はクロレラであるが、三度酸素発生速度は銀反射材で最大2.3倍、蛍光反射材で最大2倍増加した。反射材からの反射光エネルギ当たりの酸素発生速度は銀反射材よりも蛍光反射材の方が多く、最大で1.7倍であった。本年度の結果からカスケード型光散乱が光合成に効果的であることが明らかとなった。
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