研究概要 |
この研究で得られた研究成果をまとめると次のようになる. (1)音響による情景伝達方法を改良して,3次元的な情景情報を使用者に伝達する手法を開発し,試作器を用いた評価実験からその有効性と実用性を検証した.この装置の特徴をまとめると次のようになる. (a)左右定位にステレオ,上下定位に周波数と時系列,距離に音量を用いることにより3次元情報を効率的に伝えることができる.(b)ディジタル回路部分をFPGA化することにより装置の小型・計量化を実現した.(c)この装置を用いて対象点までの距離,方向とともに高さが確認できる.また,前面にある障害物を回避しながら前方への歩行と,低い障害物を避けたり,低い段に上がることができる. (2)著者らが開発したゴム人工筋肉と電気粘性流体(ERF)を利用した圧力発生装置それぞれの原理を組み合わせることにより,小型の3次元映像ディスプレイが開発できるのではないかとの着想のもとに,まず,製作が比較的に簡単な点字ディスプレイの開発を試みた.この装置の性能評価実験から,新たに製作した駆動と制御方式の有効性と装置の実用性を検証した.その結果,以下に挙げる特徴を確認した.(a)応答速度の点から広く使用されている紙点字に比較して劣るが,ゴム人工筋肉を点字表示のためのソフトピンとして利用することが可能である.(b)人工筋肉の加圧駆動のためにERFを効果的に利用でき,しかも,ディスプレイ部分の小型化が可能である. (3)点字ディスプレイの高速・小型化のために電気粘性流体の圧力制御バルブを試作し,その応答性評価を行った.また,電気-流体アナロジーに基づく応答性評価シミュレーション法を表した.
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