研究概要 |
大気汚染ガスとして問題となっている窒素酸化物と、現在洗浄や電気絶縁に用いられ、その使用後の処理が求められているフルオロカーボン(C_7F_<16>,(C_3F_7)_3N/(C_4F_4)_3N,C_8F_8/C_8F_<16>O)等を直流とRF放電プラズマならびに真空紫外線照射のハイブリッド方式により、分解し大気にもどす、または固化無害化することを目的にその基礎研究を行った。以下に、結果を要約する。 1)1〜3Torrの二酸化窒素ガスは直流放電プラズマにより90%以上窒素と酸素に分解したことを、圧力上昇 (初期封入圧力の約1.5倍に増加)、プラズマ発光スペクトルの変化(二酸化窒素ならびに一酸化窒素の発光スペクトルから窒素スペクトルヘ変化)、ならびに分解生成物の質量分析とガスクロマトグラフ法から確認した。 2)二酸化窒素ガスはキセノンエキシマランプから発する紫外線(波長172nm)を照射した場合も分解すること、また1)の実験に紫外線照射を重畳した場合には、放電プラズマ分解ならびに紫外線分解を別々に行った結果の和よりも窒素と酸素への分解速度と分解率が加速度的に向上する相乗効果が見られた。 3)〜10Torrのフルオロカーボン蒸気をプラズマ分解することにより、電極表面に薄膜の堆積することが確認された。また、プラズマ相においては、分解生成種CF、CF_2、CF_3、C_2F_3、C_2F_5、C_3F_3、C_3F_5、C_3F_6等が質量分析装置で検出され、これらと薄膜の堆積特性の関係が検討された。 4)本研究で得られた薄膜は、意外にも低誘電率で高絶縁耐力があり、半導体集積回路の絶縁層や電気機器の絶縁補助に利用できる可能性を示した。本応用に関しては現在も研究を続けている。 汚染粒子分解用放電プラズマの性能向上に関しては、モデリングと励起種の計測から種々の知見を得た。
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