研究概要 |
研究代表者らは,任意方向の直進力と回転力を発生できる二次元駆動用モータとして,円形の一次側をもつサーフェス誘導モータを提案している。直進力の発生には,進行方向軸に対して左右二組の巻線群に分けてそれぞれの巻線群で同一方向の移動磁界を作って行うが,本年度の研究では実用性を高めるために,駆動用に汎用のインバータを使用する方式について検討した。 1. 三相インバータによる電流供給で進行方向を任意に設定できる方式として,巻線分割型サーフェス誘導モータを提案した。これは,本サーフェス誘導モータの構造的特徴を活かして,円形のトロイダルコアに配置された電機子巻線を複数の三相巻線群に等分割し,対角位置の巻線を直列結線して,巻線分割数の半分の三相インバータで電流供給する方式である。 2. 本方式駆動用の試験装置として位相同期型の4出力インバータを製作した。これは通常の三相インバータを結合したもので,4個の出力は同一周波数で同一位相で供給し,かつ各インバータの電圧,電流はそれぞれ独立して調整するものである。本方式により簡単な半導体スイッチング制御電源を実現できた。 3. 対角位置にある一対の巻線に流す1台のインバータの電流のみを減少させることで,連続的な任意の方向角度で進行方向軸を決定できることを明らかにした。ここで,4分割型2インバータ方式で任意方向において推力を一定に保つためには,他のインバータの最大電流を1.4倍に増加することが必要であり,この場合,モータ自体やインバータの容量は2.0倍になる。一方,8分割型4インバータ方式では,一定推力駆動のための容量は約1.23倍で実現できることが確かめられた。 4. 6分割型3インバータないし8分割型4インバータ方式が,実用性が高いことを明らかにした。
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