| 研究概要 |
電力の安定供給は,現在社会の活動を支える基盤をなすものであり,その供給信頼度の安定維持のために電力系統を構成する各部門において数々の方策が講じられてきている。しかし,今日においても新聞報道にも見られるように自然災害あるいは人災により広範囲の停電が発生し,その復旧に多大な時間を有している。このような状況に鑑み,本研究では系統運用者の事故復旧を支援して迅速に処理できるような実用的なシステムの構築方法について研究する。本研究の研究期間は3年間を計画している。
昨年度は,評価システムのハードウェアの整備と,ソフトウェアの基本設計を中心に行い,第2年目である本年度は,当初の予定通り評価システムの開発を実施した。まず,電力システムを実用レベルの詳細度で表現できるオブジェクト指向モデルを検討し決定した。また,系統データの再利用と人間の扱いやすさを考慮して,電力系統データの入力データフォーマットを決定し,そこから電力系統データベースを展開するようなジェネレータを作成し,その動作の確認を完了した。また,過去の事故事例の調査を行い,今回の評価システムで実現するモデル系統の大きさを8電気所とした。現在,電力系統データベースのオブジェクト指向による構築処理の開発を完了し,本方式の核の部分である数理計画法との組み合わせを実施中である。これまでの結果は,平成11年電気学会全国大会(3月)で,「電力系統事故復旧シミュレータ(1)」として発表予定である。
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