研究課題/領域番号 |
09555101
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
甲斐 昌一 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20112295)
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研究分担者 |
岡部 弘高 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90221142)
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キーワード | 超高圧 / 液晶 / 混合液晶 / 走査トンネル顕微鏡 / グラファイト / 二硫化モリブデン / 奇遇性 / 単分子膜 |
研究概要 |
昨年より懸案事項となっていたn-シアノビフェニール(nCB)の単分子膜における分子配列構造のモデル検証に焦点を絞って研究が行われた。実験は常圧で使用された自作の走査トンネル顕微鏡(STM)によってなされている。提唱されたモデルは次のような観測結果をベースにして考案された。すなわち6CBから12CBまでの液晶分子のHOPGとMoS_2基板上の分子配列像がn=偶数、奇数によって明らかに異なった配列(前者が2列、後者が1列配列)を示すことを整理すると、(1)アルキル鎖のプラナ・ジグザグ面が基板に垂直に立っていること、(2)アルキル鎖中の偶数番目の炭素は常に基板に吸着し、一方奇数番目の炭素は基板から離れ比較的自由に運動できることが結論された。これによって、奇数の場合にはアルキル鎖の最終端炭素が自由運動でき、これが分子全体の基板への吸着性を弱める。このため分子同士の静電相互作用が相対的に強くなり1列配列を形成させる。これがn=偶数で2列配列を、奇数で1列配列となる理由である。本年はこれを検討するために、ビフェニールに最も近い炭素が酸素に置き換わったn-アルキルオキシ・シアノビフェニール(nOCB)の単分子膜に見られる配列構造のSTM観測を行った。この分子では提案したモデルに従えば、奇数番目の炭素が基板に吸着し偶数番目の炭素が基板から離れていることになり、配列構造は逆の傾向を持つことが期待される。結果はnOCBではn=奇数で基板との相互作用が強く2列配列が観測され、偶数で1列配列が観測された。この結果、上記のモデルが正しいことが証明された。
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