研究課題/領域番号 |
09555102
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大泊 巌 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063720)
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研究分担者 |
原 謙一 早稲田大学, 理工学部, 助手 (40298162)
豊島 義明 東芝セミコンダクター社, マイクロエレクトロニクス技術研究所, 主査
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キーワード | 量子化イオン照射法 / シングルイオン注入法 / 不純物 / ドーパント / 半導体 / 集束イオンビーム / 表面改質 / ナノ構造 |
研究概要 |
本研究の初年度(H.9)は量子化イオン照射法の要素技術の確立、昨年度(H.10)は基礎データの蓄積に努めた。最終年度を迎えた本年度は、本手法の実用化を念頭に、その可能性を世に問うべく、以下の項目に取り組んだ。 (1)微小半導体の電気的特性制御 超LSIの更なる微細化の際に障害となる不純物原子数のゆらぎを量子化イオン照射法によって抑制することを初めて試みた。まず、イオン1個当たりのコンダクタンス増加量を評価するため、注入イオン数とコンダクタンスの関係を求めた。その結果、イオン1個当たりのコンダクタンス増加量が18nS/ionとなり、電気的特性ゆらぎを抑制する上で重要な基礎データを得た。次に、サブミクロンサイズの抵抗体を作製し、コンダクタンスの度数分布を取得した。平均値から大きくばらつことが判明し、ゆらぎを63%と評価した。得られた分布をある一定値に揃えるため、抵抗体毎に必要な数だけ不純物を1個ずつ注入した。測定の結果、ゆらぎを63%から13%に大幅に低減させることに成功した。不純物がランダムに分布していると仮定してゆらぎを見積もると、実験値よりも遥かに大きい値(29%)となった。これは不純物位置ゆらぎを過大評価したためであり、実際には規則正しいイオン注入を行っているため、実験値が大幅に小さくなったと結論付けた。不純物原子の個数および位置を完全に制御することが本質的に重要であることを初めて実験的に明らかにした。 (2)量子化イオン照射装置の高精細化 微小半導体中の不純物ゆらぎの抑制を試みる過程で、不純物原子の離散性という新しい物理的描像の理解の必要性が新たに生じた。これを定量的に検証するためには、ナノ領域に精度良く不純物を導入することが不可欠であると判断し、イオンビームから1個のイオンを抽出するという操作故に留まっていたサブミクロン程度の制御性を格段に向上させるために、集束イオンビーム(FIB)の光学系の設計を行い、高精細化の見通しを得た。
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