研究課題/領域番号 |
09555108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10183097)
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研究分担者 |
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
小宮山 進 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00153677)
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キーワード | テラヘルツ光 / 遠赤外光 / 量子ホール効果 / 半導体へテロ構造 / 2次元電子 / サイクロトロン共鳴 / ランダウ準位 / エッジ状態 |
研究概要 |
半導体ヘテロ構造中に形成される2次元電子系に強磁場を印加すると、サイクロトロンエネルギーの間隔で隔てられた、ランダウ準位と呼ばれるこの0次元的な電子状態が形成され、それを反映して量子ホール効果という物性が発現することが知られている。我々は、量子ホール効果状態にある2次元電子系の磁気抵抗がテラヘルツ光の照射に対して、極めて高感度に変化することを見いだし、この効果を超高感度テラヘルツ光検出に利用する事について検討している。 本年度は、本素子を遠赤外光検出器として用いる場合の最適動作条件、および得られる性能について検討を行った。 (1)量子ホール効果テラヘルツ光検出器の感度は、量子ホール効果のブレークダウン以下の領域では、バイアス電流の増加とともに比例して大きくなってゆく。しかし、同時に支配的な雑音である1/f雑音もバイアス電流の増加とともに急激に上昇してゆくため、最大の検出能を得るには、バイアス電流の最適化が必要である。検討の結果、数μAという比較的小さなバイアス電流の時にもっとも大きな検出能が得られることが明らかになった。 (2)量子ホール状態においては、磁場の大きさにより素子抵抗が大きく変化し、それが感度や雑音性能にも反映すると考えられる。量子ホール効果の低磁場側、および高磁場側では、検出感度は大きいものの、雑音が大きいこと、一方、ちょうど量子ホール状態になる磁場では感度は小さいものの雑音が小さいことが分かった。その結果、得られる検出能は動作磁場にあまり依存せず、市販のテラヘルツ光検出器のそれの約50倍程度の高い検出能が得られることがわかった。
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