研究概要 |
低温成長用半導体結晶成膜装置の基本構成は、電子ビーム樹着装置を基本としてイオンプレーティングシステム、イオン照射ステムが付属している。開発した実験用低温半導体結晶成膜装置の基本特性測定と化合物半導体低温結晶成膜の適応性の検討を行った。成膜プロセスの条件に関わる装置特性実験はRFプラズマ特性、電子ビーム蒸着特性、イオン銃特性等の測定評価した。成膜実験の母材はII-VI化合物半導体ZnS,ZnSe,III-VI化合物半導体GaS等を用いた。成膜した膜の結晶性はX線回折計により評価し次の知見が得られた。イオン銃のイオンエネルギーに関係するアクセレータ電圧は250Vを印加し、入射角は45度で基板上にAr照射しながらZnSeの成膜を行った。イオンエネルギーと量を下げ、イオン入射角を3度位に小さくし,Arイオンを照射すると比較的低温で結晶性膜を得る事が分かった。また、GaS膜はArアシストせずに電子ビーム蒸着により石英基板とシリコンウエハー上に同時成膜を行った。石英基板上では、蒸着温度が350℃でないと結晶性膜が得られないが、シリコンウエハーは蒸着温度が室温でも多結晶性膜が得られた。この事から、結晶成長の活性化エネルギー△Eaは表面拡散過程に大きく関係し、照射イオンエネルギーが△Eaの低下に大きく寄与し低温結晶成長ができることが分かった。石英基板上に室温で結晶成長させるには、Arイオン照射エネルギーは0.4[ev]以下にして成膜すれば良いと考えられる。イオン照射エネルギーの制御性と反応性からすれば、H(水素)イオン照射が有効であると考えられる。
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