研究概要 |
様々なカラーメディアの再現色依存症を解消するために,従来よりデバイスプロファイルを介した色変換法が提案されているものの,プロファイルを自作するには膨大な数の色票を印刷・測色する必要があり,その作業量の多さから色管理システムの普及が妨げられてきた。本研究では,まずカラープリンタを対象として印刷,測色,変換系の構築までを自動的に行うプロファイルメーカーの開発を行い,その実用評価を実施した。その結果,数分でプロファイル作成が可能となり,またその変換精度も充分実用に耐え得るものであることを確認した。さらに,現在の色管理システムの最も大きな問題である,様々な視環境における再現画像の観察条件を考慮していない問題点に対し,照明光の変化に応じてその変換特性を調整できる新たな色変換法を開発した。日常的なオフィス環境では,観察条件を一定にすることは不可能であり,そうしたことが要因となって,色管理した画像でさえ同じに見えないといった状況が生じていた。今回開発した色変換系は,照明光に依存しない反射率情報を中間色表現として採用しており,これにより照明光の変化に応じて対応する再現色の色彩値を計算することができる。今回開発したシステムにより,自由に観察照明光を選ぶことができ,より実用的な状況において色管理することが可能となった。
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