研究概要 |
光レーダ法を用いた距離計測方法には,単一の光パルスを用いる光飛行時間計測法と強度変調投影光と受信光の位相差を検出する位相差検出法があるが、いずれも構造が複雑かつ高価であった.特に位相差検出方式を用いたレンジファインダでは,受光素子と位相差検出部を平面状に並べて並列動作させ,距離画像を得るようにするには位相差検出回路をシンプルにする必要がある.そこで高速差動増幅回路を用いて、画素単位での距離計測を並列に行うことでリアルタイム距離画像の取得を実現する並列画像センサの試作を行った。過去に開発された位相差検出型レンジファインダでは,ネットワークアナライザを用いたものが多い.本研究では,エレクトロニクスの進歩をふまえ,よりシンプルで高性能な位相差検出回路としてEX-ORを用いた.すなわち位相差が変化するとEX-ORの出力の周期は変化しないが,H/Lのデューテイー比が変化することに着目した.この出力を積分回路で電圧変化として取り出すものを位相差検出回路とする. 位相差検出回路よりコンピュータ内部に取り込まれた出力電圧は,同時に取り込んだPDの平均電圧をキーとして補正用関数で補正される.光源を光路長が900mm〜1200mmの区間を50mm間隔で往復させた.補正後と補正前を比較すると,補正の効果が得られている.補正後の誤差は最大6.94mm,標準偏差は0.47mmであった。本研究では,位相差検出型のレンジファインダの位相差検出回路をシンプルに実現する方法について述べた.製作した距離計測部は一画素分であるので、今後これをベースにチップ化し,エリア計測への機構を進めていく.同時に、ダブプリズムとと組み合わせて中心窩距離画像を計測する構成に発展させつつある。
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