研究課題/領域番号 |
09555130
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
渡邉 亮 熊本大学, 工学部, 教授 (50040382)
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研究分担者 |
池田 直光 八代工業高等専門学校, 助教授 (70124146)
池田 隆 久留米工業高等専門学校, 助教授 (80222884)
上田 裕市 熊本大学, 工学部, 助教授 (00141961)
小野 康二 熊本県聴覚障害者情報提供センター, 事業主任
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キーワード | 音声画像 / 振幅圧縮補聴器 / 単共振分解型補聴器 / 感音声難聴 / 聴能訓練 / 可聴領域 |
研究概要 |
本研究は、聴覚障害者が補聴器から得る音声の微細なイメージを音声のパラメータ変換によって表現した画像情報を見て強化する聴能訓練に関するものである。前年度までに既に実験システム(単共振分解型補聴システムと音声の画像化システムを組み合わせたシステム)は完成しているので、7人の聴覚障害者を対象に音声、画像、文字を組み合わせた聴き取り訓練とテストを繰り返した。7人のうち6人が成人女性で単共振分解型補聴器を本実験で装用し、他の1人は小学生で自己の常用補聴器を用いた。各人の聴力にとって適正な振幅圧縮条件を定めたのち、約30-40回の訓練を続けた。成人女性6人のうち、中域(1000[Hz]付近)の可聴野の極めて狭い(5[dB]程度)被験者とオージオグラムが日によって大きく変動する不安定な聴力の被験者の場合には顕著な効果は認められなかったが、他の4人と小学生では、男女各10人の話者による単語の正解率で約20%の上昇が認められた。これらの結果を解析するために、成人女性4人の実際のホルマントピークが圧縮されて可聴領域に入る割合と正答率を調べたところ、可聴領域に第2ホルマント周波数成分が存在する割合と訓練開始直後の正答率が非常に高い相関を示した。また、5人の難聴者のHTLに特性を合わせた有色雑音を用いて模擬難聴状態をつくり、4人の健聴者でテストした場合、正答率は500-2000[Hz]の平均可聴野の大きさと単調増加の関係にあり、難聴者の結果と全く同様な傾向を示すことが示された。このことにより、振幅圧縮補聴器が有効であるためには、中域の可聴野が少なくとも15[dB]程度あることが必要であり、その場合に画像の併用も効果的であるとの結論を得た。
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