本年度は、表題の研究を進めるための実験設備の拡充および3次元光導波路を用いて実験を行った。 これまでの実験およびシミュレーションの結果、感度を向上させるにはセンサー部を長くするか、あるいは細くすればよいことが分かっている。そこで、従来よりもセンサー部を細くするために、昨年度、コアが7μm×6μm、長さ60mm、屈折率差が0.75%の埋め込み型の光導波路をセンサーとして用いる高感度な測定系を導入した。本年度は、プラズマCVD装置を用いて光導波路上にa-Si:H膜を堆積させ、実験を行った。その結果、従来の光ファイバーやスラブ導波路をセンサーとして用いた場合と同様の傾向をもつ吸収スペクトルが得られ、この光導波路がセンサーとして機能し、これまで、吸収量が不十分で光学定数の測定が不可能であった極薄膜(〈4nm)においても、測定可能な吸収量が得られることを確認した。また、本実験において使用した埋め込み型の光導波路は、従来用いてきたスラブ導波路とは異なり3次元光導波路であるので、これまで行ってきたスラブ近似でのシミュレーションでは、正確な解析を行うことができない。したがって、本年度は3次元光導波路の解析用ソフトBPMCADを導入した。このソフトを用いて、3次元光導波路としての、より厳密な解析を行うソフトの開発を進めている。 また、これまで使用してきたコア径が110μmの光ファイバーに変えて、本年度は、コア径が10μmのシングルモードファイバーをセンサーとして用いる準備を行った。このファイバーセンサーを用いることで前述の埋め込み型の光導波路と同様に、高感度な光学定数の測定を行う。
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