本年度までの実験およびシミュレーションの結果、センサー部を長くするか、あるいは細くすれば感度が向上する事が分かっている。そこで、従来よりもセンサー部を細くするために、コアが7μm×6μm、長さ60mm、屈折率差が0.75%の埋め込み型の3次元光導波路をセンサーとして用いる高感度な測定系を導入し、実験を行った。プラズマCVD装置を用いて光導波路上にa-Si:H膜を堆積させ、導波路長変えた場合の導波光の吸収スペクトルの変化を調べた。その結果、どのような導波路長の場合でも、従来の光ファイバーやスラブ導波路をセンサーとして用いた場合と同様の傾向をもつ吸収スペクトルが得られ、また吸収量は導波路長が長くなるにつれて大きくなった。ここで得られた吸収スペクトルを元にして、導波路上に堆積させたa-Si:H膜の光学エネルギーバンドギャップを求めたところまた、導波路長にかかわらず1.70〜1.72[eV]程度の値が得られた。これは従来の測定法により得られている値とほぼ一致している。また、吸収量が不十分になる事に起因する測定限界は、コア径110[μm]の光ファイバーにおいてセンサ長を50[mm]とした場合、a-Si:H膜厚50[nm]であった。今回用いた3次元導波路では、センサ長が10[mm]のときa-Si:H膜厚8.5[nm]、センサ長が50[mm]のときa-Si:H膜厚3[nm]であったので大幅な感度の向上が図れたことになる。本実験において使用した埋め込み型の光導波路は、従来用いてきたスラブ導波路とは異なり3次元光導波路であるので、これまで行ってきたスラブ近似でのシミュレーションを応用し、等価屈折率法によりa-Si:H膜と導波光の振る舞いの解析を行った。この解析結果と実験結果を用いてa-Si:H膜の屈折率を求めたところ、エリプソメータによって測定した値との間に若干の差が見られた。これは等価屈折率法による近似が不十分である事を示しており、さらに精度の高い有限要素法による解析を現在進めている。
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