研究課題/領域番号 |
09555135
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川村 満紀 金沢大学, 工学部, 教授 (20019730)
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研究分担者 |
川口 外秋 日本鋼管(株), 富山製造所, 室長(研究職)
五十嵐 心一 金沢大学, 工学部, 助教授 (50168100)
鳥居 和之 金沢大学, 工学部, 教授 (50115250)
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キーワード | 高炭素フェロクロムスラグ / 自己収縮 / 体積安定性 / 遅延水和反応 |
研究概要 |
高炭素フェロクロムスラグを低水セメント比のシリカフューム混入高強度モルタル用骨材として使用し、その強度特性を天然骨材使用の場合と比較した。高炭素フェロクロムスラグを使用したモルタルの強度は、普通強度のモルタルの場合同様に、天然骨材を使用したモルタルより大きな強度が得られ、高強度コンクリート用骨材としても十分に高い性能を保持することがわかった。しかし、それらの高強度モルタルにおいて、長期材齢において圧縮強度が著しく低下するという現象が観察され、その低下は骨材種類やシリカフュームの混入とは無関係であった。一方、そのような強度の低下とともにセメントペーストマトリックスの微小硬度の低下および微細ひびわれの発生が確認され、長期材齢における内部組織の変化が示唆された。さらに、水中養生を行った高強度モルタルの長さ変化を調べたところ、普通コンクリートよりも大きな膨張が観察され、ゲル粒子表面への水分子の吸着によるゲルの膨潤だけでは説明できない程度の大きさであった。これらのことより、低水セメント比の超高強度モルタルはその体積の安定性が問題となりうる場合もあると考えられる。この強度低下と体積の不安定性を関連付けるメカニズムとしては、(1)供試体内部では自己乾燥により自己収縮が継続し、一方外周部では湿潤状態が保持されるために内部の自己収縮を拘束し、その結果発生する内部引張応力の影響、(2)多量に残存する未水和セメント粒子が長期材齢にて水和反応を開始し、その反応生成物による膨張圧発生、の2つのメカニズムのどちらかに起因するものと考えられる。さらに、そのようなセメントマトリックスにて生ずる体積変化は骨材使用により減少すると考えられるが、単純な骨材混入による希釈効果だけでなく、骨材とマトリックス間の付着強度に依存した拘束効果も考えられ、付着強度にすぐれる高炭素フェロクロムスラグの有効性を検討する必要性が示唆された。
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