研究概要 |
これまでの研究より,硬質スラグを超高強度コンクリートであるRPC用骨材として使用することは,十分に可能であることが力学的特性の比較により明らかにされた。しかし,RPCにおいては,熱処理をともなって強度発現を確保しているが,この場合反応生成物の種類や形態,分布状態によって強度が大きく相違し,最適配合の存在が示唆された。したがって,反応性が珪砂とは異なる高炭素フェロクロムスラグ骨材を使用した場合には,その最適配合が異なるようであり,RPCの合理的な配合設計を行うためには,RPCの基本的な強度発現機構を明確にする必要がある。本年度においては,RPCの強度発現メカニズムの解明に焦点を絞り,超低水セメント比のセメントペースト,それに微粉石英を加えた混合物,さらに珪砂を加えたRPCの強度発現性を反応生成物の同定と細孔構造の特徴から検討した。得られた主な結果は以下のとおりである。 (1)シリカフューム混入率を増すと,セメントペーストの強度は増大するが,その一方において,流動性の低下を生じる。 (2)圧縮強度の低下がするような熱処理を行ったセメントペーストでは,α-C2SHの生成が確認され,ある温度で最適配合でも,異なる温度では必ずしもそうではない。 (3)シリカフューム含有セメントペーストに微粉石英を添加すると,その強度はペーストよりも大きくなるが,200℃以下の熱処理では特徴的な結晶生成物はほとんど同定できない。したがって,この場合は,微粉石英の反応への寄与よりも剛な骨材としての補強効果が卓越するようである。 (4)珪砂をさらに添加すると,同様の補強効果により強度は増大するようであるが,強度は珪砂量に依存する。 (5)ゾノトライトの形成は必ずしも圧縮強度の増大をもたらさない。
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