研究概要 |
本研究は,長大斜張橋の合理的な形式,部材配置,桁断面を開発,提案することを最終目的とする。合理化検討に当たって,(1)構造減衰性の向上に着目した構造形式の合理化,(2)合成桁を前提とした斜張橋桁断面の部材配置等の構造的合理化,(3)終局耐力に着目した長大斜張橋のケーブル形式と桁断面の合理化,の3項目に分けて研究を進めた。今年度の研究内容は以下の通りである。 1. 構造減衰性の向上に着目した斜張橋形式の合理化に関する研究 1998年11月に実橋振動実験の行われた多々羅大橋について減衰解析を行い,低減衰ケーブルの連成が斜張橋の構造減衰を小さくすることを確認した。これにより,内部共振を積極的に起こさせるケーブル配置とし,かつケーブルそのものの減衰性を高めることで,斜張橋の減衰性を向上させることができると結論される。 2. 合成桁を適用した場合の斜張橋桁断面の合理化に関する研究 合成箱桁を有する斜張橋および2主桁連続合成橋梁のクリープ・乾燥収縮解析を行い,合成桁橋の力学的特性を明らかにすると共に,合成桁の斜張橋への適用スパンを考察した。また,合理化策の一つとしての合成床版について,その耐荷力持性を実験および解析から検討した。 3. 終局耐力に着目した長大斜張橋の形式と鋼桁断面の合理化に関する研究 1000mを超える鋼斜張橋について弾塑性有限変位解析を行い,その終局耐力を確保するために必要な最小桁断面(桁輻および桁高さ)を明らかにした。また,ケーブルの安全率を下げることで斜張橋構造の合理化が可能かどうかの検討も行っている。
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