研究概要 |
1.研究計画の拡張と再定義 測地学審議会の地震予知計画のレビューにおいて地殻内部モニタリング技法の開発の重要性が指摘されたことを受けて,それに該当する本研究計画を拡張し,地震予知研究への応用研究計画を作成した。 2.装置開発 本年度は装置開発の第1段階である要素開発を行なった。これには回転震源とセンサーがある。 (1)回転震源:偏心質量+モータ+制御装置から成る。モータは市販製品を用いた。外からパルスを与えて追従させるもので,制御パルスには市販の汎用シンセサイザーを使用した。別に汎用のGPS受信装置を購入しシンセサイザーのパルスを補正した。偏心質量は,市販の低摩擦損失軸受けを用いて制作(外注)した。大きな起震力を受けるために,地震研究所地下に,特殊なアンカー施設を設置した(費用は本研究計画外)。パワーの遠隔自動変更や磁気支承は基本設計と商品調査を終えたが,制作は次年度の予定である。 (2)センサー:市販の高性能地震計+AD変換器+メモリから成り,後2者はCPUによって管理される。CPUには本年度は市販のPCを使用した。研究成果の主眼は,データのスタッキングの際の不良サンプルの自動廃棄スキームである。なお本年度はAD変換のタイミングをGPS管理するまでに至らず,PCのクロックを用いた。次年度にGPS管理方式の実現とデータの衛星通信を試みる。 (3)解析ソフト開発 調和波動を放射する点震源が励起する波動の計算が中心である。研究の第1段階は順問題のソフトの整備である。本年は半無限一様場の基本公式をオリジナルに完成させた。不均質場では差分法のプログラムを作成しその精度の検証を行なった。水平成層は,別の研究で使用した地震学の反射法スキームを転用する。研究の次段階は逆問題(あるいは最適化)であり,まず陽表示の可能な無限一様場での解析を一部行なった。次年度に,無限一様場の逆解析および微分フィルターの試験,不均質場の有限要素順解析を行なう予定である。
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