研究課題/領域番号 |
09555144
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
後藤 芳顯 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90144188)
|
研究分担者 |
田嶋 仁志 首都高速道路公団, 工務部, 設計基準班長
岩本 政巳 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (60232716)
小畑 誠 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30194624)
|
キーワード | アンカー / 耐震設計 / 定着部 / 鋼製橋脚 / コンポーネントメソッド |
研究概要 |
平成9年度に構築したアンカー部の復元力モデルである半実験モデルを用いて数値解析により、アンカー部の強度・剛性が一柱式鋼製橋脚全体の強震時挙動に与える影響について検討した。この結果より、アンカー部の強度・剛性が高くなり、基部の固定度が剛結に近づくと、橋脚区体に損傷が集中し、橋脚天端の最大変位や残留変位がかえって増加すること。アンカー部の固定度が低下すると、アンカー部の損傷は増加するが、橋脚躯体の損傷度は減少することが判明した。すなわち、アンカー部にある程度の柔軟性を持たせると橋脚全体に損傷が分散し、かえって最大応答変位や残留変位が減少する。しかしながら、アンカー部に損傷が生じるとその補修が難しいためアンカー部の損傷度を小さくすることが設計で要求される。そこで、アンカー部の損傷度が、橋脚躯体の損傷度を下回るための条件をアンカー部の終局モーメントと橋脚の終局耐力との関係において明らかにした。これにより、アンカー部の損傷を小さくコントロールするためのアンカー部と橋脚躯体との強度バランスを示すことができた。さらに、アンカー部を考慮した一往式鋼製橋脚の耐震設計法への、エネルギー一定則に基づく簡易的な静的解析法の適用性を検討した。この結果から、エネルギー一定則により水平震度、最大応答変位についてはかなり精度の良い値が得られること、また この精度はアンカー部の固定度が高く剛結に近づくほど向上することなどが明らかになった。追加実験として、矩形断面鋼製橋脚アンカー部の載荷実験を行い、新たに、半実験モデルによる復元力モデルの定数を決定した。これにより、すべてのアンカー形式に対して解析的にその影響を評価できるようになった。
|