研究概要 |
緩い砂・礫質地盤や岩屑盛土の地盤改良工法の一つに重錘落下締固め工法がある。この工法は,対象とする地盤全体を一様に締固めることを目標にしているが,打撃点直下では高密度に締まった領域が球根状に成長していくことが見出されている。本研究は,この点に着目して基礎位置となる地点を重錘打撃と埋戻しを繰り返して強い締固め球根を生成させ,これを直接基礎へ応用する「締固め球根基礎工法」の適用性と実用化の検討を研究目的としている。昨年までの研究で,重錘質量がある程度以上大きくなると,増加する埋戻し層がわざわいして支持力が低くなる結果が得られた。また,大規模な重錘を現場で用いるためには専用の大型クレーンが必要となり,施工効率が悪いことも予想される。そこで今年度は,この工法を効率よく適用するために,これまでよりも重錘の規模と落下高を小さくし,その場合の支持力特性に与える打撃条件(重錘質量,重錘底面積,落下高,打撃回数)と基礎底面積の影響を遠心模型実験によって調べた。 今年度得られた結論は,1)荷重強さ-沈下量関係から,重錘質量10tでは局部破壊を呈するのに対し,5tでは全般破壊を呈し,むしろ重錘質量が小さい方が良好な基礎地盤となる,2)重錘質量5t,落下高5mのように小さくても打撃回数を多くとれば良好な支持力を得ることができる,3)重錘底面積が小さいほど,極限支持力は大きくなるが,地盤反力係数は逆に小さくなる,したがって良好な支持力を得るには,ある程度の重錘底面積の大きさが必要である。以上の成果を踏まえて来年度,この工法の実用化の研究に着手する予定である。
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