研究概要 |
緩い砂・礫質地盤や岩屑盛土の地盤改良工法の一つに重錘落下締固め工法がある。この工法は,対象とする地盤全体を一様に締固めることを目標にしているが,打撃点直下では高密度に締まった領域が球根状に成長していくことが見出されている。本研究は,この点に着目して基礎位置となる地点を重錘打撃と埋戻しを繰り返して強い締固め球根を生成させ,これを直接基礎へ応用する「締固め球根基礎工法」の適用性と実用化の検討を研究目的としている。3年間の研究で,この工法の遠心模型実験手法を開発し,まず,重錘落下締固め工法と同規模の条件で,重錘質量,重錘底面積,打撃回数,基礎底面積,および土の種類の影響を遠心模型実験で調べた。次に,大規模な重錘を現場で用いるためには専用の大型クレーンが必要となり,施工効率が悪いことも予想されるため,この工法を効率よく適用するために,重錘の規模と落下高を小さくした場合の支持力特性に与える打撃条件(重錘質量,重錘底面積,落下高,打撃回数)と基礎底面積の影響を遠心模型実験によって調べた。 本研究で得られた結論は,1)締固め球根の支持力は,未打撃地盤に比べて100倍以上,地盤反力係数は約10倍に増加する,2)締固め球根の支持力は,単位面積当たりの重錘質量に依存し,同じ重錘質量では重錘底面積が大きい方が高い,3)想定する基礎底面積より大きな底面積をもつ重錘で打撃した方が高い支持力が得られる。ただし,パス施工時の埋戻し層の締まり方は支持力に影響する,4)この工法に与える土の種類の影響はあまり大きくない,5)重錘質量5t,落下高5mのような小規模な打撃条件でも打撃回数を多くとれば良好な支持力を得ることができる。以上の成果を踏まえて,この工法の実用化のための提言を行った。
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