エスチュリー・エンジニアリングの体系化に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09555158
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 中辻 啓二 大阪大学, 工学部, 教授 (10029324)
• 研究分担者: 上嶋 英機 中国工業技術研究所, 海洋環境制御部, 部長 ; 安田 孝志 岐阜大学, 工学部, 教授 (10093329) ; 八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助教授 (80201820) ; 中野 晋 徳島大学, 工学部, 助教授 (50198157) ; 出口 一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (00029323)
• キーワード: エスチュリー / 沿岸域環境 / 3次元流動 / 密度流成層化 / 現地観測 / バロクリニック流れ / 生態系モデル / ミチゲーション

研究概要

研究集会・公開フォーラム・現地観測を実施して、各分担課題に関して討議するとともに、エスチュアリ-研究の体系化に関する検討を行った。以下に実施した内容を示す。
(1)第1回研究会(5月13・14日;運輸省港湾技術研究所)研究計画の打ち合わせを行うとともに、各分担課題に関する今までの研究成果と今後の展開について検討した。共通な活動として、明石海峡大橋からの観測と、3次元バロクリニック流れモデルの精度向上を目指してコンペチションを行うことが確認された。
(2)第2回研究会(10月1・2日;大阪大学土木工学科)「沿岸域の生態系モデルの現状とその可能性」および「3次元バロクリニック流れのコンペチション」について討論を行った。また、大阪港湾局の案内で港の視察と将来計画に関すると討議を行った。
(3)公開フォーラム(11月10日;岐阜大学工学部)「閉鎖性海域の流動・密度構造 : より良い環境創造をめざして」と題したフォーラムを開催し、69名の参加を得た。講演者は分担者に加えて、中国天津大学・陶建華教授であった。伊勢湾・三河湾・東京湾・大阪湾・渤海湾の事例研究が報告され、活発な討議がなされた。
(4)明石海峡での現地観測(12月12日)本研究の準備段階において明石海峡大橋の主塔からの広域可視観測を実施。その過程で潮目が観測され、その挙動を解明するため、ADCPを用いた流速観測と水質観測を行った。
(5)第3回研究会(1月7日:土木学会)「ミチゲーションの我が国への適用の可能性とその課題」に関して、最新の米国の事例(大成建設・東江氏)と欧州の事例(分担者・上嶋氏)の報告を基に討論を行った。また、12月に実施した明石海峡の観測結果に関する議論も行った。

研究成果

• [文献書誌] Yamane,N.: "Field Data Collection and Modelling for Verification of Ecosystem Model in Semi-Enclosed Osaka Bay,Japan" Estuarine and Coastal Modelling,Conference Book of 5ECM,ASCE. (印刷中).
• [文献書誌] Sugiyama,Y.: "Modelling the Baroclinic Residual Circulation in Coastal Seas Under Freshwater Influence." Estuarine and Coastal Modelling,Conference Book of 5ECM,ASCE. (印刷中).
• [文献書誌] 山根 伸之: "大阪湾における水質構造の季節変動に関する数値実験" 水工学論文集. 42(発表予定). (1998)
• [文献書誌] 石塚 正秀: "成層化した閉鎖性水域の流動計算へのPOMの適用について" 水工学論文集. 42(発表予定). (1998)
• [文献書誌] 出口 一郎: "由良川河口周辺地形の変動に及ぼす河川流量の影響について" 海岸工学論文集. 44. 561-565 (1997)
• [文献書誌] 北野 利一: "異方性を有する海底地盤の波浪応答の近似理論" 海岸工学論文集. 44. 906-910 (1997)
• [文献書誌] 村上 和男: "波高および水質条件よりみた港湾構造物の付着生物群集の評価" 海岸工学論文集. 44. 1126-1130 (1997)
• [文献書誌] 八木 宏: "開放性沿岸域における成層期の水温構造と流動特性に関する現地観測" 海岸工学論文集. 44. 416-420 (1997)
• [文献書誌] 安田 孝志: "強風浪下の沖合い流れの3次元構造と発生機構" 海岸工学論文集. 44. 426-430 (1997)