| 研究概要 |
本年度は,波・流れの共存場における垂下型汚濁防止膜の係留索に作用する張力,および流れによる膜の変形特性を現地観測することによって汚濁防止膜の設計に必要である膜構造物の抗力係数の推定を試みた.現地観測では膜構造物周辺の流向・流束分布を把握する上で,設備備品費に計上した超音波式ドップラー流速計を用いて現地実験を行った.それらの結果,以下の結論が得られた.
1.暴浪時の波・流れ共存場の係留索張力と流速の現地観測に基づけば,流れによる静的張力は流速の定数倍で示され,波による変動張力は流れの流速の影響を受ける.
2.流れに対する膜構造物の抗力係数は,流速の増加に伴い減少し,一定値に漸近する傾向を示し、激しい潮流下(流速0.5m/s以上)において1.0程度であることが導かれた.
3.波に対する膜構造物の抗力係数の傾向は,流れに対する抗力係数と同様に水粒子速度の増加に伴い減少し,1.0程度に漸近することが確かめられた.
4.膜の安定性が問題となる激しい流れと波の共存する場合には,抗力係数を同じ(1.0程度)と仮定することが可能であると考えられる.
また,汚濁防止膜などの浮体構造物の係留アンカーの把駐力特性を把握するために,各種係留アンカー把駐力の現場試験を行った.試験体は一般に用いられているコンクリートブロック(大小2体)と研究代表者が提案した円筒鋼管製のサクションアンカーを用いて行った.現在,これらの収録データの解析を行っている.
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