研究課題/領域番号 |
09555185
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
志賀 正幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026025)
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研究分担者 |
中村 裕之 京都大学, 工学研究科, 助手 (00202218)
和田 裕文 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80191831)
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キーワード | 磁気冷凍 / 磁気熱量効果 / 比熱 / 希土類化合物 / メタ磁性 / 一次転移 |
研究概要 |
磁気冷凍は磁性体に磁場を加えることによって、変化したエントロピーを熱という形で外部に放出させる冷凍サイクルである。この磁気冷凍は従来、格子負荷が無視できるような低温域(〜20K以下)でのみ用いられている。しかし、磁気エントロピーが格子負荷に匹敵しうるほど大きい場合は、磁気冷凍をより高温で実用化することができる。本研究では、磁場によって常磁性から強磁性(又はフェリ磁性)にメタ磁性転移する物質を磁気冷凍作業物質に応用することを目的とする。 本年度はErCo_2の磁気熱量効果とRMn_2Ge_2(Rは希土類)の磁気転移について調べた。ErCo_2はキュリー温度32Kで、フェリ磁性から常磁性へ一次転移する。キュリー温度以上で磁場をかけるとメタ磁性を起こす。これは磁場によって磁気転移温度が上昇することを意味し、上記作業物質として期待がもてる。この系の磁場中比熱を観測したところ、磁場によってエントロピーが大きく変化することが明らかになった。温度45Kでの磁気熱量効果は14Kにも達し、これは他の磁気冷凍作業物質と比べても遜色はない。また、キュリー温度で変化する磁気エントロピーは全体のエントロピーの50%にも達することがわかった。RMn_2Ge_2は低温で一次転移を起こし、Rのモーメントのみが常磁性になる。磁場によってこのRのモーメントをメタ磁性的に磁化することができるので、大きなエントロピー変化が期待できる。DyMn_2Ge_2の磁気熱量効果を測定したところ、温度50Kで10K程度の磁気熱量効果を観測した。またRの転移点を制御する目的で、RをYやLaで置換して磁性を調べたところ、YがRの転移温度を下げるのに有効なことが明らかになった。最近、アメリカのグループも、一次転移を示す物質の磁気熱量効果に注目している。これに関連して、強磁性-反強磁性転移を示すCe(Fe,Co)_2のエントロピーの磁場依存性も測定した。
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