研究課題/領域番号 |
09555187
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島田 昌彦 東北大学, 素材工学研究科, 教授 (80029701)
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研究分担者 |
清水 悦雄 化成オプトニクス(株), 研究開発室, 部長代理(研究職)
長谷 堯 化成オプトニクス(株), 研究開発室, 部長(研究職)
上田 恭太 東北大学, 工学部, 助手 (50271862)
窪田 俊一 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (10271975)
滝沢 博胤 東北大学, 工学部, 助教授 (90226960)
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キーワード | 高輝度蛍光体 / 希土類付活発光材料 / 層状酸化物 / 濃度消光 / 一次元的エネルギー回遊 |
研究概要 |
所定の温度・雰囲気で焼成することにより、固溶体LiSr_2Y_<1-x>RE_xO_4(RE^<3+>=Eu^<3+>,Tm^<3+>,Tb^<3+>)の全固溶域において単一相として合成することができた。固溶体LiSr_2Y_<1-x>Eu_xO_4(x=0.0-1.0)では613nm付近に赤色発光が観察でき、その発光強度はx=0.15をピークとして付活剤濃度の増加と共に減少した。 本研究で作製したLiSr_2EuO_4及びBaEu_2Ti_3O_<10>とEuTa_7O_<19>について、その発光強度と母結晶中の希土類イオン間の距離との関係において、最近接希土類イオン間距離に注目すると、層間の距離のほぼ等しいBaEu_2Ti_3O_<10>とEuTa_7O_<19>は層内の距離、すなわち最近接希土類イオン間の距離が増加するにつれて、励起エネルギーの消失が抑制され発光強度が強くなっているのが分かる。また、鎖内、層内の距離のほぼ等しいLiSr_2EuO_4とBaEu_2Ti_3O_<10>はそれぞれ鎖間、層間の距離が約0.58nmと約1.04nmで、Eu^<3+>間での相互作用が双極子-双極子によるものであり、単純にその確率は距離Rの-6乗に比例すると仮定すると、LiSr_2EuO_4の方がBaEu_2Ti_3O_<10>よりも33倍相互作用が起こりやすくなる。しかしそれらの発光強度はほぼ同じ値を示した。これは母結晶内での希土類イオンの配置がそれぞれ見かけ上、一次元的、擬二次元的であり、LiSr_2EuO_4の方がBaEu_2Ti_3O_<10>よりもより低次元に希土類イオンが配置されているため、その結果、発光強度があまり低下せずほぼ同じ値を示しているものと考えられる。従って、蛍光体の発光強度と、母結晶中の希土類イオン間の距離及び希土類イオンの配置の次元性とは密接な関係があると考えられる。LiSr_2EuO_4の発光減衰曲線の結果より、この発光減衰曲線は一次元的エネルギー回遊を仮定した理論式で近似することができ、LiSr_2EuO_4中でのエネルギー回遊はその結晶構造を反映した一次元的回遊であることが分かった。
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