研究分担者 |
上田 恭太 東北大学, 工学部, 助手 (50271862)
窪田 俊一 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (10271975)
滝沢 博胤 東北大学, 工学部, 助教授 (90226960)
清水 悦雄 化成オプトニクス株式会社, 部長代理(研究職)
長谷 尭堯 化成オプトニクス株式会社, 研究開発室, 部長(研究職)
|
研究概要 |
メリライト型構造はCaLaAl_3O_7を例にとると、AlO_4^<5->四面体が頂点を共有して五員環を形成している。この五員環の中心の等価なサイトをCa^<2+>,La^<3+>が占めている。a軸方向から見た場合、五員環によってab面に形成されたAlO_4四面体の層の間をCa^<2+>,La^<3+>が占めるという特異な結晶構造を有している。昨年度の研究において、メリライト型構造を持つSrLaGa_3O_7を母結晶としてEu^<3+>,Tb^<3+>,Tm^<3+>を付活剤とした蛍光体を合成し、これら蛍光体は濃度消光が起こり難く、非常に高い臨界濃度をもつことを明らかにした。本年度はメリライト型構造を持つ酸化物の蛍光体の母結晶としての更なる可能性を検討した。 CaCO_3,Al_2O_3,La_2O_3,RE_2O_3(発光希土類元素酸化物)を所定量秤量,湿式混合し,ペレット成形後,1300℃〜1600℃で空気中6〜48時間焼成した。得られた試料を粉砕し,粉末X線回折法により相同定を行い,単一相試料について分光蛍光光度計により発光特性を評価した。 CaLaAl_3O_7を母結晶とし,Er^<3+>を付活剤とした蛍光体,CaLa_<0.95>Er_<0.05>Al_3O_7を合成し,粉末X線回折法によって単一相であることを確認した。結晶系は正方晶系で,a=7.8026Å,c=5.1579Å,空間群はP42_1mであった。紫外線励起下で,Er^<3+>中の4f-4f遷移による470nmと540nm近辺のシャープな発光ピークが観測された。又,メリライト型構造を有するCaGdAl_3O_7を母結晶とし,Pr^<3+>を付活した試料では,Gd^<3+>による310nmとPr^<3+>による490nmの発光が見られた。Pr^<3+>のGd^<3+>からの発光は,Pr^<3+>からGd^<3+>への励起エネルギー移動を伴う発光であると考えられる。 特異な結晶構造を有するメリライト型酸化物は,高濃度型高輝度発光材料としての母結晶としてたいへん有用であることが判明した。
|