研究課題/領域番号 |
09555189
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山根 正之 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016382)
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研究分担者 |
橋本 和生 宇部興産(株), 宇部研究所, 主任研究員
秋山 善一 (株)リコー, 中央研究所, 主任研究員
鶴見 敬章 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70188647)
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キーワード | 圧電セラミックス / ゾル-ゲル法 / PZT / レーザ干渉計 |
研究概要 |
本研究では、マイクロマシンの微少アクチュエータに用いる圧電セラミックス厚膜を作製するための新規なプロセスを開発するとともに、圧電セラミックス厚膜の特性を評価するための技術を確立することを目的としている。 厚膜の作製は界面重合ゾル-ゲル法により行った。この方法は、水と有機溶媒のような互いに混和しない2液の界面における重合反応を利用して、ひび割れのないゲル厚膜を作製し、これをシリコン上に静置、焼結することで、厚みが2-40μmの厚膜を作製しようとするものである。代表的な圧電セラミックスであるチタン酸鉛-ジルコン酸鉛固溶体(PZT)について、同方法による厚膜作製を試みたところ、乾燥・焼成時の収縮により膜内に無数のクラックが発生し、作製条件を変化しても結果的にPZT厚膜を作製することはできなかった。そこで、乾燥・焼成時の収縮量を低減するため、平均粒径約0.2マイクロメートルのPZT粒子をヘキサン/シクロヘキサノン混合溶媒に分散し、ゾル溶液に添加した。これを原料溶液として、界面重合ゾル-ゲル法により厚膜作製を試みたところ、最終的にシリコン基板上に厚さ約10マイクロメートルのPZT厚膜を作製することに成功した。 一方、厚膜の圧電特性を評価するためマッハツエンダー型レーザ干渉計を作製した。この干渉計の特徴は、試料の両端を機械的に拘束せず自由端として、圧電歪みに基づく微少変位量の測定が可能なことである。本年度は、上記の厚膜ではなく、標準試料としてニオブ酸リチウム単結晶およびPZT焼結体について測定を行い、干渉計の精度を検証した。その結果、変位量の分解能は0.01nm以下であり100kHzの高周波数まで測定が可能であることを明らかにした。 来年度は、高密度の厚膜を得るために厚膜作製プロセスを精密化するとともに、レーザ干渉計により圧電特性の評価を行う予定である。
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